コンクリの森deメメントモリ

北の国からお届けします。カエルとかGISとかの話をします。

安心してください。 \アライグマですよ!!/ ~富士山『動物交通事故死』マップに見るアライグマの誤謬~

みなさんは「ロードキル」という言葉をご存じでしょうか。

戦維喪失!!ってやるtrigger製作のアニメではありません。

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一般的には動物が ”ロード(road)” で "キル(kill)" されること、つまり動物の事故死のことを言います。

轢かれた動物が死ぬだけでなく、轢いたり、避けたりしようとした自動車も事故ることのある非常に危険なアクシデントになりうる問題でして、全国統一的な統計はないものの、北海道では一年間で事故死したエゾシカの回収だけで1030件*1というデータがあり、少なくないなぁという数字ではありますが、高速道路では大事故につながりかねないということで、道路管理者にとっては対策を必要とする大きな問題です。

また、個体数が少ない野生動物にとっては、ロードキルによる個体数減少というのはかなりのインパクトを持ちます。

 

さて、民間のグループが集めた富士山麓でのロードキルを可視化した事例が最近新聞で取り上げられました。

「富士山麓、浮かぶ「動物交通死」 データを3D地図化」(朝日 3/9)

digital.asahi.com

取り上げられたマップ「富士山動物交通事故死マップ」はこちら

animal.mapping.jp

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 3Dのマップ上で交通事故死が確認された位置に動物のアイコンがポップアップされています。画面下部にあるカーソルを左右に操作することで、2014年5月29日から現在までどんなタイミングでどんな動物が事故ってきたのかを見ることができます。

サービスは公開されたばかりでこれからどう展開するか明記されておらず、

渡辺准教授は「誰もが遠景で記憶している富士山麓。だが、ズームインすると、きめ細やかな起伏のなかに人の営みが挟み込まれていることに気づく。動物の暮らしに影響を与えていることにも、考えを巡らせることができるはず」と話している。

と記事にあるように、啓発をメインに作られているのかな?という感じなので情報は更新されていくのかどうか、気になるところであります。

 

唐突ですがこのマップについて思うところが三つあります。

 

ドライバーがスマホで運転しながら参照できる地図ならいいのに!!

これ、パソコンでぐりぐり見るならいいんですけど、実際に富士山麓を走る!って時に参照したい作りにはなってないです、、、

googleのマイマップにして公開すれば、スマホのナビ機能使いつつ、

「あーここで事故があったのか、気をつけなきゃ」ってなると思うんですよね。

 

ユーザーがロードキルの位置情報をアップロードできるような地図になればいいのに!!

やっぱり、ロードキルを見つけた人が位置情報とか写真とかをシェアすることができれば、ユーザーも増えるだろうし意識も上がるしデータ数は格段に多くなるよね!

台湾でこんなサービスがあるの、結構見てると楽しいです。アプリで、見つけたロードキルの写真と位置情報をFacebook経由でアップすると、サーバーがその投稿内容を認識して種判定とか分類とかしてくれて、位置情報を地図に落とすというやつ。

play.google.com

システムを作るだけで一般のたくさんのユーザーが貴重なロードキルに関するデータを蓄積してくれる。保全に係る組織はそのデータを使って、保全対策を立てられる、という話です。

保全を身近にするにはこういう取り組みがよいよね!富士山麓マップもこういう展開に行けばいいなぁ

 

最後に本題

アイコンが適当過ぎませんか!!!!!

悲しいかな、アイコンが適当・・・

シカ、イタチ系、タヌキ系、両爬系、鳥、といった感じにざっくりと分けた分類でアイコンを立てています。それはまあいいんです。鳥類のアイコンが明らかにインコのシルエットなの、適当だな!!って思いますが衝撃的なのがこれ。タヌキのアイコン。

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ん?

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んんん???

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アライグマですやん!!!!!

わかる人にはわかるこのシルエット、アライグマですやん。特定外来生物ですやん。

データ集めた人とマップ作った人の意思疎通できてないですやん!!

こんなオチつけられたらアライグマに間違えられるタヌキの憤慨を見事に表した「ぶんぶくたぬきのティーパーティー」むっちゃ読みたくなるやん!!

『ぶんぶくたぬきのティーパーティ』森長あやみ | まんだらけWEBコミック ラザ

www.amazon.co.jp

データを提供する側の人とデータを利用しする側の人とがしっかりとコミュニケーションをとることの大切さを教えてくれるマップサービスでした。

今後の展開に期待。