コンクリの森deメメントモリ

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【書評】週刊東洋経済 「理系社員サバイバル白書」

新入社員のみなさま、入社して一か月と半分が過ぎましたがいかがお過ごしでしょうか。
入社早々理不尽な扱いを受けている人も少なくないようですが、
ホワイト企業の模範である弊社は入社からしばらくの試雇期間中は残業禁止を徹底しており、
新入社員からは「いい会社ですね!!」とのお声をいただいております。
 
まぁ、建設コンサルの繁忙期は年末・年度末なのでその時は血反吐はいて働いてもらうんですが!!
 
さぁ、私は入社3年目、転職する友人もちらほらと現れる中、自分のキャリアを改めて見直した上で、働き方も考え直していくタイミングですよね、、、
公共事業の減少のなか、海外展開!!民間事業の獲得!!などと5年後の未来(あす)はどっちだ!!
と、業界としても未来を見極め切れていない現状、いつ会社がぽしゃっても生きていける何かが必要だとぼんやりと考えているところ
目に入ってきた「理系社員サバイバル」の文字。
 
週刊東洋経済4/30-5/7合併号の特集を読んだ。

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SHARPの買収、SONYのリストラと事業売却、東芝の不正問題からの大規模リストラ等々・・・
「大学出て大企業メーカー入れば安泰っしょ」と王道で安全な職種だと思われていた、いわゆる「メーカー」に在籍する理系の技術者がこの記事の主なターゲットの特集だ。
 
簡単にまとめてしまうと、技術については
・会社はもはや安全な労働環境を提供してくれる場所ではないのだから、自分の力を磨け。
・エンジニアとして生きたいのであれば、まずはほかの人に負けない高い専門性を持て。
・さらに上昇志向をもって生きるなら、関連する周辺領域の知識を身に着け、事業価値形成に資する専門職として領域性を広げろ!
・T字型「人財」として価値を創造しろ!
・個人の能力が社内で評価されないなら、論文を発表して世界で認められればよいのさ!!
また、働くことそのものについては、
・会社を辞めても大丈夫なように自分なりの保険を用意しておくこと
・余裕があるうちに人脈作りをし、自分を商品としてアピールしておくこと
自己プロデュースができる人間はどの世でも活躍してきただろうけれど、今の時代は今まで以上に自己プロデュース力が重要になってきているのだということが何度も書かれていた。「キャリアデザイン」という概念を持たずに生きてきた企業戦士に向けてのメッセージだろう。
 
中~後年に向けたメッセージが多いが、現状中堅~古参がこういう状況に陥ってるから、若手はこうしたほうがいい、という若手に対する示唆に富む内容になっている特集であった。
私みたいな公共部門を主なクライアントとした建設コンサル、しかも自然環境分野を専門にしてきた人間には当てはめにくいっちゃ当てはめにくい内容だけれど、論文を書いて社外にも認められる価値を作ること、それらを事業につなげる知財マネジメントの重要性、キャリアデザインの踏み台として大学など教育機関を再度利用せよ、とか至極まっとうなことが書かれてて耳が痛すぎる。
 
そこそこキャリア形成について真面目に考えたことがあれば「うわぁー、やっぱそうだよなぁ」と認識を新たにする機会に、そこまで深く考えていない人にとってはキャリアプランを作るにあたっていくつかの軸を提供するものだと思う。
 
「キャリアは自ら作る時代」であり、競合するのは会社の同期だけでない、世界のやつらだ。同じ分野だけでなく隣接する領域の人間たちも領域を広げてくるから競合相手になりうる。
 
中国の学生としばらく一緒にいたことがあるけれど、彼らはネイティブ並みの英語力を持ったうえで、もう一か国語を勉強しながら海外に留学していこうとするすげー優秀な人ばかりだった。日本に進出してくる人材は海外に出ることのハードルが低い優秀な人たちなはずだ。
そういうことを考えると、一応英語はちゃんと扱えるようになっておく必要があるし、スペイン語や中国語とか、もう一か国語ぐらいはかじったことあった方が有利だなぁと最近思う。
 
でもねー、会社員が陥る長時間労働って社外に対する関心を弱めさせたうえで、余暇活動も学習活動もできなくするものだから、必然的に会社に依存させるための重要な役割を持っているよね・・・
業務効率化!技術力向上!!!新規事業獲得!事業事業化!!とか言うならもっと効率的に働ける環境をつくれってんだ!!
となどと同期に愚痴を垂れながら、今日も煌々と輝く弊社フロアの窓をみながら、帰路につくのだ。